芽キャベツの憂鬱

「自分が口にしている食材がどのような形で自然界に存在しているかを、現代人はあまりに知らなすぎる」「酷い例だと切り身のまま泳いでいる魚がいると思っている子供さえいる」なんてことを、かつて某新聞紙で読んだことがある。数々の寿司ネタが海を泳いでいるところを想像したりすると、そのまま回転寿司のイメージがでてきて楽しかったりするし、別にその食材がどんな形の種子からどんなふうに成長してどんな花をつけるのか、食べているのはそもそも葉なのか茎なのか根なのか知らないと食事にありつけないというわけでもない。でも「わたし知ってます!ジャガイモのことを!成分はデンプンで、ヨウ素液をたらすと紫色になり、芽は発がん性があるためとったほうがいいらしく、ふかしてバターをつけたりして食すとうまいということを!」なんて言っているくせに、「ではその『ふかしてバターをつけるとうまい』のは具体的にいうとジャガイモのどの部分なんですかね?」と問われると「そ、それは、、茎でしょうか。それとも根かもしれません」と突然答えに窮して恥ずかしい思いをしたりするので、やっぱり「今食べているものの素材の味・形ができるまで」を知っていたほうが、人間、上をむいて生きられる。


そこで初春のホットトピックスとして、鬼の首をとったかのように得意げに飲み会等でネタにできるのは

芽キャベツ!「芽」なんて可愛らしいワードが接頭語としてついているし、見た目もキャベツのミニチュアだし、可愛らしく地面から咲くように生えているのかと思ったらこれです。遠目でみたらでかいパイナップルと見紛うのではないかと思う。あとワサビ。なんとなく最近話題の写真集の被写体にも似ている。芽キャベツにもお面をつけてほしい。

WILDER MANN (ワイルドマン)

WILDER MANN (ワイルドマン)



世界って本当はこうなんだよ!皿の中だけみて世界だと思うな!と芽キャベツに教えられたような気がしたので、この春はナプキンを捨てよ、畑にでよ。