ペン字練習

私が4月から働く職場では、達筆な者は重宝されるということをきいて、最近ペン字の練習をはじめた。
けれどもペン字の練習というのは概して、簡単な漢字の手本をなぞるなどするものが大半で、小学生時代の、もうすっかり覚えている漢字の練習が宿題に出され、何度も練習帳に書かされた時の苦い気持ちを私は思い出してしまった。


そしてペン字練習で、いっちょ職場の宝になってみせますぜ!という私のもくろみはあえなく失敗におわる。あいつは仕事できないけど、字を書かせたらすごいぜ。みたいなのを目指していたのに。ペン字がだめとなったら、4月から私は一体何を売りにして、生きてゆけばよいのだろうか、、と途方にくれてしまう。

そこで私は提案したいのだ。ペン字練習帳に、美しい文字を目指すためだけでなく、漢字練習帳の機能も搭載したらどうかと。「天」やら「収」やら大人がひたすら書いていても虚しくなるような漢字だけでなく、「膵臓」や「魑魅魍魎」、「薔薇」等の知ってるけど書けない漢字は勿論のこと、「鱣子(きゃびあ)」や「心太(ところてん)」等ちょっとやそっとじゃ読めない漢字の導入をして頂きたい。
さすれば、「あいつの字はまるで、それ自体で世直しをできるほどに清く正しく美しい。おまけにやつは『木薯(キャッサバ)』などの字も華麗に書いて見せるんだぜ!」と職場のヒーロー、ヒロインを多く生み出すことになるにちがいないのです。

、、と今日も私は蚊のような字で、日記をかきます。