狂気のゆるきゃらグランプリ2013

 ※わたしの個人的な偏見にみちたゆるキャラ観であることを念頭に読んでくださいね☆※
みうらじゅんさんが名付け親だが、もうすっかりビッグビジネスとなった感のある「ゆるキャラ」。数年前まで全く興味のなかったわたしも、とある、ゆるキャラにまつわる傷害事件(後述)を知ってからというもの、すっかりその一部のキャラたちに愛着をもち、時に心揺さぶられるまでになってしまった。ということで、今年もみなさんお待ちかねのゆるキャラグランプリ2013が開催されています!



ことの始まりは、埼玉県のマスコット・コバトンだった。

「くそださい。どうして県のマスコットに、よりによってこんなに冴えない色の微妙な鳥を選んだのか。これが”ださいたま”たる所以か。可愛くないうえに、まずそう。」コバトンに対するマイ・ファーストインプレッションはざっとこのような感じであった。しかしこのコバトン、実は過去に3度も傷害事件の被害者になっているらしい。残念ながら2004年当時のニュース記事はネット上にほとんど残っていないけれど、なんでも川口駅構内に設置されていた際に羽がもぎとられたり、腹に殴られたようなへこみが発見されたというのだ。それでも微笑むコバトン。それでも飛ぼうとするコバトン。なんていじらしいのかしら。あれほど散々なことを言っていたのに、わたしはその話をきいてからすっかりコバトンのことが好きになってしまい、ひいてはゆるキャラに興味をもつようになった。



数多く存在する、ゆるキャラのタイプをわかりやすく分類するため、ドラえもん登場キャラで例えると「ドラえもん」「ドラミちゃん」「出来杉」「綺麗なジャイアン」「のび太」の5種類、そしてそのどれにも属さない「狂気の無所属」にわけられる。くまモンやバリィさんは、この「ドラえもん」にカテゴライズされる。個性が強く、みんなの人気者。ゆるキャラグランプリで優勝するタイプだ。「ドラミちゃん」はひたすら可愛い系。今年のゆるキャラグランプリにエントリーしているものでは札幌のコアックマ・アックマだとか深谷市ふっかちゃんがそれにあたる。チーバくんせんとくんは「出来杉」。ゆるキャラとしては完成度が高すぎるからだ。「綺麗なジャイアン」は「にしこくん」や「レルヒさん」など、ウケを狙い過ぎているもの。「のび太」はパッとしないもので、ゆるキャラのうち多くはここに所属するが、まれにコバトンのように文脈によっては愛されキャラとなる。そして最後の「狂気の無所属」。わたしが惹かれるのは、一部の「のび太」と、この「狂気の無所属」ゆるキャラたちだ。では「狂気の無所属」ゆるキャラとはどんなものを指すのか。それにはまず「ミョーコーさん」をみてほしい。


これが新潟県妙高市のマスコット、ミョーコーさんである。まず顔のバランスがおかしい。太い味付け海苔のような眉毛に、ゆるキャラでは珍しい横長の目。その下には丸い鼻。なかなかない取り合わせである。着ぐるみになると細身になり顔の具が寄るので、よりおかしい。個人的には2012年のグランプリであった。残念ながら今年は今のところ出馬していないよう。

2013年、注目の筆頭株は、山形県舟形町のめがみちゃん。

どうしてこの胴体に、この頭をつけたのか。左足の歪みかたが、痛々しくさえある。
宮城県栗原市の細倉マインパークのマスコット、マイン坊やもやばい。

瞳孔ひらいてないですか。もう少し黒目がちなら、もっとかわいいんじゃないんですか。あと、その胸にある自信なさげな字体の「H」はなんですか。



ゆるキャラの醍醐味とは、センスのない行政のエライおっさんたちがこれらのマスコットたちを公募し、会議で「ようし、ではこの“うなりくん”でいきましょう」とか言いあい、スーツ姿で着ぐるみと写真におさまったりしているであろうところだと思う。センスのない行政は、ときに思いもかけない歪みを生じさせ、絶妙なアンバランスを備えたゆるキャラが生まれる。それが「狂気の無所属」組なんだと思う。ただ悲しいかな、人間はアンバランスというものにすぐ慣れてしまうようで、去年みつけた時はあまりの興奮でわたしの頬を紅潮させたミョーコーさんも、今ではさほど心を動かされなくなってしまった。今後とも、彼に続く良質な狂気のゆるキャラの出現が絶えないことを願って、群馬県出身のわたしは”ぐんまちゃん”にやっぱり今日も一票いれるのでした。